23.02.06

ユーザー視点で考える住宅のあり方、 住宅業界のUNSTANDARD

Profile

山本 航聡
株式会社LIFE QUARTET/株式会社HARMONY 代表
1980年10月17日生まれ。三重県伊勢市出身。
高校中退後、昼は料理屋で板前として、夜はメンズバーで働く。20歳で地元住宅会社に転職。10年間で営業スタッフとして300棟以上の顧客を担当。30歳の時に上京し、某コンサルティング会社に転職。2014年11月、34歳で株式会社HARMONYを三重県にて設立。36歳時にWOODBOXネットワーク設立、2022年3月にWOODBOXのリブランディングを発表。6月に新ブランド〈UNSTANDARD〉をリリース。

規格住宅ネットワークWOODBOXは2022年6月に「住宅業界の常識を疑うこと」をコンセプトとして掲げる新ブランドへリブランディング。LIFE QUARTET代表、山本のビジネスマンとしての歩みの中で、幾度も行われた「価値観の刷新」。たくさんの人と出会い、その価値観に触れることで、見出してきた使命。住宅営業マン時代からバックグラウンドに触れていきますので、ぜひ最後までお読みください!

マイホーム建築と住宅営業という仕事との出会い

子どもの頃を思い出すと、小学校で生活発表会、中学では部活動、声も体も大きかったから、とにかく目立ったのか、いつも中心にいた気がします。高校時代は多少ヤンチャなところもあり、高校中退し、料理屋で板前をやりながら深夜はメンズバーで働いていました。思い返せば、人の心を掴むトーク力はこのメンズバーで身に付いたのかもしれませんね。
そしてその頃に色んな出会いを経験しました。ある建設会社の方と出会ったのが、この業界に入ることになったきっかけです。その時はまだ住宅営業ではなかったんですけど・・・
そして20歳の頃に子どもができたことを契機に家を建てようと思い、住宅会社へ話を聞きにいきました。その時に担当してくれた営業の方と、自分が建てる家について話しているうちに「住宅営業って面白そうだな」って思ったんですよね。マイホームはほとんどの方にとって一生で一番大きな買い物ですから。長い時間をかけ営業とお客様で信頼関係を育んで、最後は心から“ありがとう”と言ってもらえる仕事。それが住宅営業なんです。自分のマイホーム建築をきっかけにこの仕事をやりたいと思い、住宅営業にシフトチェンジし、家をバリバリ売る日々が始まりました。

住宅を売るのではなく「幸せに感じる心をつくる」

24歳の時には営業マンとしてそれなりの数字も残せたことで、店長になりました。住宅営業は歩合制なので、24歳の割にはお給料も多くもらっていましたね。ただ、それまでは機械的にハコを売っていた、という感じだったんですよね。でもそれじゃダメだ。「ただ機械的に売り続ける」ということが自分の心にどれだけ悪影響をもたらすか、を考え始めたんですよ。

それから、住宅を売るのではなく、自分たちが手掛ける家で一人でも多くの人に幸せを感じてほしい、という考えに至ったんです。つまり「住宅を売る」ということではなく、お客様が住宅を買ったことによって「幸せを感じる心をつくる」ということについて考えていかないと今後ダメになる、と。幸せを感じる心をつくることが僕たち住宅営業の本当の仕事、使命ではないか、と思うようになったんですよね。家づくりにおいて、満足するお客様と満足しないお客様がいる。 これは自分たち営業の接し方次第で変わるんですよ。だから住宅事業をするならば家をつくるではなく、良い心をつくる。価値観が大きく塗り替えられた時でしたね。

転職と起業、自然素材住宅との出会い

ちょうどその頃、縁あって全国の工務店を援助するコンサルティング会社の社長と出会いました。その社長から言われた一言「君はいま三重県で一番の住宅会社を目指して、お客様に選ばれることに躍起になっているけど、私たちの仕事というのはハウスメーカー主導の住宅業界そのものを塗り替えるようなことをやっているからね」と…。つまり地方の工務店をサポートすることが、地域の経済を潤して地域活性化につながる。この流れをつくる仕事。
住宅の売り方について疑問を抱いていたその頃の僕には、この仕事はすごく大きく、かつやりがいのある仕事だと感じましたね。それで、10年働いた会社を辞めてそのコンサル会社へ入社。コンサルタントとして北から南まで津々浦々、全国の工務店等のクライアント先に徹底的に足を運びました。
その折に、自然素材を使ったおしゃれな住宅を見る機会がありました。すごく良い住宅なのですが、良いものだけに坪90万円と、やっぱりかなりの高級品。そりゃそうだよね、と思ったんですが、でもまた違う会社を覗いてみたら似たような自然素材の住宅をローコストで販売できている。不思議に思ってそこの社長に尋ねると「良いものを高く売るのは当たり前。でもそれを工夫して安く売るのが俺たちの仕事でしょ?」と、当たり前のようにおっしゃるんです。
その時にまず思ったのは「社長ってすごいなぁ!」ってこと(笑)。だって、まったく同じ素材を使って高くも安くもできるんですよ。価格を決めるのは社長だから。そしてもちろんそこには、スタンダードから外れることで責任がともなうわけで。なんだか、心の中でモヤモヤしていたものが晴れたよう気がしましたね。その帰りの電車の中ではもう「社長になろう」と決めていました。そして数日後、東京から三重県に帰り、HARMONYという建築会社を設立しました。

「UNSTANDARD」常識を疑うということ

HARMONYは三重で自然素材のローコスト住宅を年間100棟ほど手がけております。
コンサル時代にたくさんの工務店に行っていたこともあり、どうやってこの住宅をやっているのか?と全国の工務店の社長が三重まで見に来てくれるようになり、この住宅を全国の工務店で使えるように、良いものをお手頃な価格でもっと全国の人たちに届けられたらと思い、「WOODBOX」という規格住宅ネットワークをつくりました。全国のパートナーが100社を超え、リブランディングを考えていた頃、コロナ禍となり、家の価値観が変わっていきました。

ネットの爆速的な普及、様々な異業種に目を向けた時に気づいたんです。テレビは地上波がほぼ終焉、サブスクリプションが台頭。店舗に行かずとも服が買える、車は運転しなくても目的地に連れてってくれる。こんな大きなパラダイムシフトが起こっているのに、僕ら住宅業界は国が作った教科書通りのエコポイントや脱炭素をうたう。これを元に広告を作り、営業トークに使い、その施策通りに作られたハウスメーカーの家、フルオプションの家が良い家とされて、そんな家を建てるのがサラリーマンの憧れだ、というようなイメージをいまだに抱いている。僕が20年前に住宅業界に入った時から、良い家の基準がまるで変わってないんです。つまり僕は、住宅業界のスタンダードを疑うべきだと思ったんです。果たしてこれでいいのか?と。
性能もデザインも大事かもしれない。でもそれに囚われすぎていないか?本当に大事なのは、ユーザーが家を建てたその先の人生です。泣いたり笑ったり、賑やかで幸せであるように、家族それぞれのストーリーを大事にしてあげることが、つくり手にとって大事なんじゃないのか?と考えたんですよ。今までの住宅、つまりスタンダードを疑ってゆく僕たちは、業界の「UNSTANDARD」なんです。そして、「UNSTANDARD」の商品「NONDESIGN」は、あえてデザインをしないどこまでもシンプルな四角い「箱」。ノンデザインだからこそ、住む人がそれぞれに染めてもらったらいいと思っています。
こんな住宅会社が出てきたことで、それを喜んでくれるユーザーがまた増えてきて。そんな世界を、僕らはブランドメッセージとして“Life is colorful.”と呼んでいます。
これからUNSTANDARDはユーザー視点で様々な商品開発をしていきます!
今、たくさんのプロジェクトが進んでいます。パートナーの皆さんにはもちろん、住宅だけでなく暮らし方を提案するオウンドメディアを通じて、家は人生を楽しむ場所として、暮らしを楽しみ方を届けていきます!