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2025.09.19
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「チラシを1万部まいても1件も来場がない」「来場1件あたり10万円もかかる」これは今、全国の工務店で起きている現実だ。
折込チラシの一般的な反響率は0.01〜0.3%程度とされているが、年々低下傾向にある。実際に1万部を配布しても3〜5件程度の反応に留まるケースも珍しくなく、そこから来場につながるのはさらに限定的だ。配布コストは変わらず反響だけが減り続けた結果、来場1件あたりのCPAが7〜10万円という高コスト構造に陥っている。
一方で、Meta広告(Instagram・Facebook)に切り替えた工務店では、来場CPAを3.5〜4.5万円程度まで半減させることに成功。しかし、これは単なるコスト削減の話ではない。顧客の行動そのものが根本的に変化しているのだ。
なぜ折込チラシの効果が激減し、Web広告が成果を上げているのか。その背景には、住宅購入検討者の情報収集行動の劇的な変化がある。
2024年の調査によると、工務店探しにおいて「SNS」が全世代で圧倒的1位の支持を獲得し、特に今後の主力顧客層となる20~30代では、実に36%がSNSを「最も役に立った手段」と評価している。これは「ネット検索」や「住宅展示場」の2倍以上の支持率だ。
注目すべきは、若年層がSNSを評価する理由である。単なる情報収集ではなく、「リアルな口コミが見られる」「メリットだけでなくデメリットも把握できる」「実際に家を建てた方の素直な感想や写真を確認できる」といった “情報のリアルさ” を重視している。従来の一方的な宣伝手法では、もはや信頼を得ることは困難なのだ。
この変化は不可逆的なものだ。デジタルネイティブ世代が住宅購入の主力層になる中、従来の紙媒体中心の集客戦略を続けることは、市場から取り残されることを意味する。Web媒体への切替は、もはや「待ったなし」の経営課題なのである。
(出典)スタジオアンビルト株式会社|【注文住宅市場】工務店を探す際のSNS利用に世代間ギャップ 20・30代の36%がSNSを「最も役立つ手段」と評価
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000036284.html,%E5%8F%82%E7%85%A7%E6%97%A52024-09-25
現在の主要Web媒体における、住宅業界での集客実績を比較検証した結果が以下の通りだ。
媒体 | 国内MAU | 主年齢層 | 来場CPA | 特徴 |
約6,600万人 | 10〜30代 | 3.5〜4.5万円 | 視覚的訴求力が高く、施工事例と相性抜群 | |
約2,600万人 | 30〜50代 | 3.8〜5.0万円 | 詳細なターゲティングと信頼性の高いユーザー層 | |
Google検索 | 約8,000万人 | 全年齢 | 4.5〜6.0万円 | 顕在層への確実なリーチ、競合激化でCPA上昇 |
LINE | 約9,900万人 | 全年齢 | 4.0〜5.5万円 | 幅広いリーチ、ただし住宅業界での成功事例は限定的 |
TikTok | 約3,300万人 | 0〜30代 | 資料請求1万円〜 | 若年層への強いリーチ、住宅業界での活用は実験段階 |
※TikTokは来場CPAの公開データが不足しているため、現段階では検証枠として予算の5〜10%程度での投下が推奨される。
注目すべきは、すべてのWeb媒体で折込チラシの来場CPA(7〜10万円)を大幅に下回っている点だ。特にMeta広告(Instagram・Facebook)では、折込チラシの半分以下のCPAを実現したケースが多数報告されている。
Meta広告(Instagram・Facebook)が工務店の集客において主力プラットフォームとなっている理由は、住宅業界特有のマーケティング課題を解決する機能が充実していることにある。
検索広告では「住宅 工務店」などのキーワードを検索する顕在層しかアプローチできない。一方、Meta広告では「なんとなく新築を考え始めた」「賃貸の更新を機に購入を検討し始めた」といった潜在層に対し、魅力的な施工事例や暮らし提案で興味を喚起できる。
住宅購入は年単位の検討期間を要するため、早い段階でのブランド認知と接触が重要となる。Meta広告なら、この長い検討期間の入口部分から継続的にアプローチすることが可能だ。
Meta広告でインスタントフォーム機能を活用すると、LP制作不要なのも大きなメリットだ。ユーザーは広告を見て興味を持った瞬間に、アプリ上のフォーム入力で資料請求や来場予約ができる。
従来のWeb広告では、広告→LP→フォーム→完了という複数ステップで離脱が発生していた。リード獲得広告ならユーザーの離脱ポイントが大幅に削減され、「ちょっと資料を見てみたい」という軽い興味でも見込み客情報を獲得できる。LP制作も不要で、初期投資を大幅に抑制できる点も地方工務店にとって大きなメリットだ。
工務店の商圏は車で1〜1.5時間程度のエリアに設定されることが多いが、Meta広告なら半径1km単位での細かい地域指定が可能だ。「○○駅から徒歩圏内」「○○小学校区内」といった、より具体的な商圏設定により、無駄な広告配信を大幅に削減できる。
AIを活用しクリエイティブやテキストを最適化することで、高精度な運用が初心者でも可能だ。これまで広告運用には専門知識が必要だったが、工務店の現場スタッフでも一定の成果を上げられる環境が整っている。
実際にMeta広告で成果を上げている工務店の事例を紹介する。これらはUNSTANDARD取扱店における実際の数値であり、理論ではなく現実に達成された成果だ。
会社 | 月予算 | 手法 | 1ヶ月成果 |
千葉県A工務店 | 10万円 | リード獲得広告 | ・資料請求:1〜2件 → 30〜35件
・CPL(来場予約単価):5,000円 |
岡山県B工務店 | 4万円 | リード獲得広告 | ・来場予約:5件
・CPL(来場予約単価):10,000円 |
これらの事例が示すのは、Meta広告なら折込チラシの半分以下のCPAで、従来の数倍〜数十倍の反響を獲得できるという現実だ。しかも、これは特別な成功事例ではなく、適切な運用により多くの工務店で再現可能である。
折込チラシ神話の崩壊は、もはや疑いようのない現実だ。来場CPA10万円という数値は、従来の集客モデルが完全に機能不全を起こしていることを明確に示している。一方で、Web広告、特にMeta広告では半分以下のCPAで数倍の反響を獲得できている。
この現実を前に、地方工務店が取るべき道は明らかだ。オフライン中心の集客から、オンライン中心の集客への転換。これは単なる手法の変更ではなく、顧客接点の在り方そのものを変える経営判断である。
時代の変化に対応できない企業は市場から退場を余儀なくされる。しかし、変化を先取りし適切に対応した企業は、競合に大きな差をつけるチャンスを手にできるだろう。紙チラシに固執している競合他社が多い今こそ、Web広告で先行者利益を確保する絶好の機会だ。
Meta広告での集客モデル確立は、もはや「やるかやらないか」ではなく「いつから本格的に取り組むか」の問題だ。変革の波に乗り遅れることなく、新しい集客時代を切り拓いていこう。