大手ビルダーも資金調整に動いた!4号特例縮小で地方工務店が今すぐ備えるべき理由 – 株式会社LIFE QUARTET

2025.08.22

大手ビルダーも資金調整に動いた!4号特例縮小で地方工務店が今すぐ備えるべき理由

大手ビルダーも資金調整に動いた!4号特例縮小で地方工務店が今すぐ備えるべき理由

今、現場で何が起きているのか?

大手ビルダーも資金調整に動いた!4号特例縮小で地方工務店が今すぐ備えるべき理由

2025年4月の建築基準法改正による4号特例縮小が、すでに大手ビルダーの経営判断にも影響を与え始めている。これは単なる制度変更ではなく、工期・資金・信頼に直結する経営リスクそのものだ。

 

最も衝撃的なのは、一部の大手ビルダーが実際に着工調整や資金繰りの再編を始めているという現実だ。「確認審査が最大35日程度かかり得る」「審査戻しで着工延期」「入金遅延」といった事象が、すでに現場で起きている。これらは一時的な業務の遅れではなく、事業継続に関わる重大な問題となっている。

 

地方工務店も例外ではない。大手ビルダーが直面している問題は、確実に地方工務店にも波及する。審査期間の長期化、書類戻しによる着工遅延、それに伴う資金繰りの悪化。これらは既に始まっている現実なのだ。


4号特例の見直し理由と業界への衝撃

4号特例とは、1983年に導入された建築基準法の特例制度で、木造2階建て以下・延床面積500㎡以下の建築物について、構造関係規定など一部の審査を省略できる制度である。これまで40年以上にわたり、住宅建築の効率化に大きく貢献してきた。

 

しかし、2025年4月から省エネ基準適合が義務化されたことで、住宅業界に根本的な変化が起きている。省エネ性能を高めるには断熱材の厚化、高性能窓の採用、太陽光パネルの設置などが必要となり、これらにより建物は従来よりも大幅に重量化した。

 

重量化した建物の安全性を確保するには、詳細な構造計算と審査が不可欠になる。このため、構造審査の省略を前提とした4号特例制度の見直しが避けられなくなったのだ。また、審査の省略により施工者の技術力や知識に依存する部分が大きく、品質のばらつきや安全性の確保に対する懸念が高まっていたことも背景にある。


何がどう変わった? 新2号・新3号への再分類で激変する申請実務

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では、具体的に何がどう変わったのか。2025年4月を境に、住宅建築の申請実務は劇的に変化している。従来の4号建築物が新2号・3号建築物へと再分類され、木造2階建や平屋200㎡超の住宅が、より厳格な審査対象となった。構造・省エネ関連の資料の提出が必須となり、従来7日程度で完了していた確認申請も最大35日と長期化している。

 

項目 改正前 改正後(2025年4月〜)
区分 4号建築物 新2号/新3号へ再分類
木造2階建て または 平屋で延床面積200㎡超〜500㎡以下 確認審査省略対象 新2号:構造+省エネ図書提出+審査必須
木造平屋200㎡以下 区域外なら免除 新3号:都市計画区域内では要確認申請(簡素審査)
必要書類 最小限(略式) 構造計算書+省エネ性能説明資料
審査期間 通常7日程度 最大35日※繁忙期はさらに長期化も

※延床面積の判断基準は、地下室や車庫を含む場合の計算方法が変更される場合があります。都市計画区域の定義については、各自治体の都市計画図を確認することが必要です。


4号特例縮小が生む経営リスクの連鎖

着工遅延 → 着工金回収遅延 → 資金繰り逼迫

最も深刻な問題は、着工遅延が資金繰りに直結することだ。実際に一部のビルダーでは「着工ずらし」「資金繰り調整」「補助金申請ストップ」といった事業継続に関わる問題が起きている。地方工務店でも、新制度への対応が未整備のままなら、“明日は我が身”である。特に、着工金に依存した資金繰りを行っている工務店にとって、致命的な影響を与える可能性がある。

書類戻し・構造設計やり直し

認識のズレから「戻し」も頻発。時間的・人的リソースの消耗が非常に大きく、特に設計者の負担が増大している。構造・省エネ関連資料の記載漏れ、図面との整合性不足などが主な原因だ。審査戻しが発生すると着工時期に大きな影響を与えるため、初回提出での通過率を高めることが重要となる。

顧客との関係悪化

遅延理由が制度起因だと顧客に伝わらず、信頼喪失・契約改正の火種になるケースも発生している。顧客にとって法改正の詳細は関係なく、約束した工期を守れないことが問題なのだ。適切な説明と事前の情報共有ができていない工務店では、顧客満足度の低下や口コミによる評判悪化も懸念される。


地方工務店が生き残るための緊急対策5選

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1.構造設計者との外部連携体制を構築

新2号建築物では、構造計算書の提出が必須となる。社内に構造設計者がいない場合は、信頼できる外部の構造設計事務所との連携体制を早急に構築する必要がある。

2.社内勉強会とチェックフロー整備

4号特例縮小への対応は設計部門だけの問題ではない。営業、現場監督、事務担当者まで含めた全社的な取り組みが必要だ。法改正の概要と自社への影響、新しい申請フローの確認、必要書類と提出タイミング、顧客説明のポイントについて、全員が共通認識を持つことが重要だ。

3.書類のテンプレート・チェックリスト化

初回提出での通過率を高めるため、標準的なテンプレートとチェックリストの作成は急務となる。構造計算書の記載内容確認、省エネ性能説明資料の数値確認、図面との整合性確認など、見落としがちなポイントを網羅したチェックリストを整備しよう。

4.顧客説明マニュアル・Q&Aの更新

顧客へ制度変更の影響を適切に説明できるよう、営業担当者向けの説明マニュアルを早急に更新する必要もある。特に工期への影響や費用の変動について事前に説明できる体制を整え、契約段階でのトラブルを防ぐことが重要だ。「なぜ今まで通りの工期でできないのか」「費用は上がるのか」「いつごろから着工できるのか」といった想定される質問に対し、法改正の必要性から具体的な影響まで、顧客が納得できる回答を準備しておこう。

5.リフォーム・既存不適格物件への対応

大規模なリフォームや増築等における確認申請のフローや、既存不適格物件への対応方法を整理することも重要な対策の一つだ。現行法に適合していない部分に後から気づくと、大幅な追加費用や設計変更が生じる可能性がある。建築当時の資料を現在の法令と照らし合わせて確認するなど、事前調査を徹底したい。


新制度時代を乗り切るための実務対応

2025年4月の4号特例縮小は、住宅業界の構造を根本的に変える制度変更である。この変化は工務店の収支構造・信頼構造・工程構造までを変えるものだ。

 

大手ビルダーが既に資金調整に動き始めているという現実は、この制度変更が単なる手続きの変更ではなく、経営に直結する重要な問題であることを示している。地方工務店にとって、これは「対岸の火事」ではなく、「明日は我が身」の問題なのだ。

 

既に制度はスタートしている。今すぐ行動を起こし、この変革期を乗り切るための準備を整えることが、地方工務店の生き残りと発展のカギとなるだろう。適切な準備と対応により、より高い品質と安全性を提供できる体制を構築し、新しい時代の住宅業界でも継続的に成長できる基盤を築いていこう。

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