GX志向型住宅の特徴と提案のポイント 最大160万円の補助金活用術 | 株式会社LIFE QUARTET

2025.02.01

GX志向型住宅の特徴と提案のポイント 最大160万円の補助金活用術

GX志向型住宅の特徴と提案のポイント 最大160万円の補助金活用術

2025年4月、補助金最大160万円の商機到来

2025年度の重点施策として、国土交通省が打ち出した子育てグリーン住宅支援事業。その中でもとりわけ注目すべきは、GX志向型住宅に対する最大160万円という手厚い補助金だ。すべての世帯が対象となる点で、市場への影響は大きいと予想される。

しかし、GX志向型住宅は従来のZEH水準を上回る性能が求められ、施工や提案には細かな注意点も多い。そこで本記事では、GX志向型住宅の基本的な特徴から、顧客への提案ポイント、補助金申請の実務まで、工務店に必要な情報を解説したい。


GX志向型住宅とは?

GX志向型住宅は、グリーントランスフォーメーション(GX)の考え方を取り入れた次世代型の住宅だ。ZEH水準を大きく上回る省エネ性能を持ち、再生可能エネルギーの活用も前提とされている。

 

GX志向型住宅に求められる性能基準

GX志向型住宅には、以下の性能基準を満たすことが求められる。あくまでも求められるのは省エネ性能のみであり、耐震性や耐火性のような他の基準は含まれないのもポイントだ。

1.断熱等性能等級6以上

ZEH基準では断熱等性能等級5が求められていたが、GX志向型住宅では断熱等性能等級6と1段階上がる。地域5・6・7の場合、UA値0.46W/(㎡・K)以下が必要だ。

2.一次エネルギー消費量の削減率

高効率のエアコンや給湯器、LED照明などを利用し、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量から35%以上を削減。さらに、太陽光発電システム等の設置により、自家消費分のエネルギー消費量以上の再生可能エネルギーを創らなければならない。なお、寒冷地等の戸建住宅の場合、基準一次エネルギー削減率は75%以上とされている。

 

全世帯が160万円/戸の補助対象に

子育てグリーン住宅支援事業の中でGX志向型住宅は最大補助額となり、その金額は1戸あたり160万円。子育て世帯や若者夫婦世帯に限らず、すべての世帯の新築住宅(注文住宅・分譲住宅・賃貸住宅)が補助の対象となる。

対象世帯 対象住宅 補助額
すべての世帯 GX志向型住宅 160万円/戸
子育て世帯等 長期優良住宅  建替前住宅等の除却を行う場合 100万円/戸
 上記以外の場合 80万円/戸
ZEH水準住宅  建替前住宅等の除却を行う場合 60万円/戸
 上記以外の場合 40万円/戸

GX志向型住宅の導入を後押しする3つの訴求ポイント

GX志向型住宅は、高い省エネ性能と再生可能エネルギーの活用が求められるため、従来の住宅と比べて建設コストは上昇する。顧客にとって大きな投資判断となるからこそ、工務店には的確な価値提案が求められるだろう。ここでは、顧客の導入を後押しする3つの重要な提案ポイントを解説する。

 

ポイント1:経済性の具体的な提示

まず求められるのが、補助金と光熱費削減効果を組み合わせた具体的な経済メリットの説明だ。とりわけ初期費用の上昇を懸念する顧客に対しては、長期的な経済メリットを具体的な数値で示すことが効果的と考えられる。

・補助金による初期費用の軽減

GX志向型住宅は、長期優良住宅(最大100万円/戸)やZEH水準住宅(最大60万円/戸)と比較して、補助金額が大幅に増額されている点が大きな特徴だ。さらに、長期優良住宅やZEH水準住宅が子育て世帯・若者夫婦世帯に対象を限定しているのに対し、GX志向型住宅は世帯条件に関係なくすべての世帯が対象となる。この「最大160万円の補助金」と「すべての世帯が対象」という2つの特徴は、顧客への訴求力が極めて高い。他に併用可能な補助制度が存在する場合、各種補助金を組み合わせた具体的な試算例を用意しておくと良いだろう。

・光熱費削減効果の明確化

GX志向型住宅は高い断熱性能と再生可能エネルギーの活用により、従来型住宅と比較して大幅な光熱費削減が期待できる。顧客への提案時には、一般的な住宅との比較数値を示しながら、具体的な削減効果を説明することが重要だ。また、太陽光発電による売電収入についても、システム容量に応じた具体的な試算を示すことで、経済的なメリットをより分かりやすく伝えられるだろう。これらの削減効果と売電収入を組み合わせることで、初期費用の回収年数を具体的に示すことが可能となる。

 

ポイント2:健康・快適性の価値

GX志向型住宅の魅力は、経済的なメリットだけではない。断熱等性能等級6以上という高い性能基準は、住まい手の健康や快適な暮らしにも直結する。顧客への提案においては、これらの価値を具体的な生活シーンと結びつけて説明することが効果的だ。

室内環境の向上

・温度のバリアフリー化によるヒートショック防止
・結露・カビの抑制効果
・換気効率の向上による空気環境の改善

災害時の強み

・停電時の電力確保(太陽光発電+蓄電池)
・断熱性能による室温維持効果
・エネルギー自給による安心感

 

ポイント3:将来価値の説明

GX志向型住宅は、現在の暮らしを豊かにするだけでなく、将来に向けた価値も備えている。国は2030年までに新築住宅の省エネ基準をZEH水準まで引き上げる方針を示しており、住宅の環境性能が資産価値に与える影響は今後さらに高まっていくはずだ。

GX志向型住宅は、すでにZEH水準を上回る性能を備えており、将来の基準強化を先取りした仕様となっている。これは、性能の低い住宅と比較した際の大きな優位性となるだろう。

GX志向型住宅の特徴と提案のポイント 最大160万円の補助金活用術

GX志向型住宅の仕様検討と申請のポイント

環境性能と経済性、そして将来価値を兼ね備えたGX志向型住宅は、顧客にとって魅力的な選択肢となる。その魅力を最大限に引き出すためには、工務店側の確実な実務対応が不可欠だ。ここでは、性能基準の達成から補助金申請まで、重要なポイントを解説する。

 

性能基準達成のためのポイント

GX志向型住宅の性能基準は、従来のZEH基準を上回る高いレベルが求められる。断熱等性能等級6以上は付加断熱をせずに達成できるケースも多いが、ハードルが高いと言われているのが一次エネルギー消費量の削減率35%の達成だ。

最も優先度の高いのが、給湯および換気の性能向上。エコキュートやハイブリッド給湯器のような高性能な給湯器、熱交換型換気システムなど、省エネ性能の高い設備を適切に採用することが重要だ。再生エネルギーを含む一次エネルギー消費量については、一定以上の容量の太陽光発電システムを設置することでクリアできるはずだ。

このように、GX志向型住宅の実現には、従来以上に高度な技術力と緻密な計画が必要となる。しかし、これらの要件をクリアすることは、工務店としての技術力向上にもつながり、今後の競争力強化にも寄与するだろう。

 

補助金申請の確実な実施に向けて

GX志向型住宅への補助金制度は、顧客の費用負担を大きく軽減できる可能性を持つ。確実に補助金を獲得するためには、申請要件や手続きについて事前に十分な確認が必要となる。

補助金制度には申請期限や必要書類など、様々な要件が設定される。手戻りを防ぐには、営業段階から申請スケジュールを意識した工程管理を行うことが重要だ。制度の詳細発表を注意深く見守りながら、申請要件を確実に把握し、計画的な準備を進めてもらいたい。


GX志向型住宅を工務店の成長機会に

GX志向型住宅の特徴と提案のポイント 最大160万円の補助金活用術

新たな住宅の形として登場したGX志向型住宅は、工務店にとって大きな成長機会となる。補助金を活用しながら、顧客に対して明確な価値提案ができれば、新たな差別化要因となるだろう。

重要なのは、単なる補助金の紹介ではなく、住まい手にとっての具体的なメリットを、数値やシミュレーションを交えて分かりやすく説明することだ。その上で、長期的な視点での投資価値を示すことで、より説得力のある提案が可能となるだろう。工務店はGX志向型住宅に対応できる力をつけ、住宅市場での飛躍を目指していかなければならない。

 

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