ストーリーのあるプロダクトで心地よさを育む暮らし方を提案 「NONDESIGN HYGGE」（ノンデザイン ヒュッゲ）

ー今回、伊岐見氏とコラボレーションした背景は？

代表山本（以下、山本）：これまでの商品にはない暮らし方にフォーカスした女性目線の商品が欲しいと考えていました。
伊岐見さんなら、設計力・デザイン力・マーケティング力を掛け合わせた上で、”NONDESIGN”をどう料理するか？ととても興味が湧いたのが、コラボを依頼した背景ですね。
加えて伊岐見さんはYOUTUBEにおいてルームツアーのパイオニアでもあるので、SNSでの発信力もある。所謂建築業界のインフルエンサーと言える方で、女性ファンも多く、暮らしをデザインする設計を得意とされる方なので、とても楽しみなコラボでした。

伊岐見氏（以下敬称略）：今回、自社の設計をする上でお客様からよく出るご要望を間取りに反映しました。
よくお話を聞くのは、規格住宅は間取りが使いにくい、収納が足りない、家事動線・帰宅動線を快適にしたいなどですね。これらをどう解消するかということと、近年需要が高まっている「個のスペース」と、私が得意とする“北欧スタイル”をスパイスとして反映させていただきました。

ー“HYGGE（ヒュッゲ）”とは

HYGGEとは、デンマーク語で「居心地のいい空間」や「楽しい時間」のこと。
自宅で食卓を囲みながら家族や友人など大切な人と一緒に過ごす時間や、コーヒーや紅茶を片手にソファでくつろいだり、ゆったり語り合うひとときを表す。

ー「NONDESIGN HYGGE」の間取りについて

伊岐見：規格住宅であるからには、コンパクトな間取り・方位による家の向き・住みやすさなどを網羅しながら、コスト面もクリアしなければなりません。
それらの面でユーザーが妥協して購入するということがないよう、「NONDESIGN HYGGE」には住みたいと思えるギミックを随所に散りばめています。

例えば、吹き抜けを間取りの真ん中に配置し、ダイニングで家族が朝食をとる際に気持ちよく過ごせるように設計しています。真ん中に配置することで、家の向きがどの方位であっても朝日を室内に取り込み、明るく開放的な住まいを実現できます。

外観は、プライバシーが保たれるようファサードはあえて掃き出し窓を採用せず高さを設け、外から見てもまとまりのある窓配置にしました。

キッチンについてはⅡ型を採用することでシンク側の長さが1.8mになり、ダイニングとの距離も近く、配膳が楽に、リビングを広くとることができます。
ただキッチンの背面収納は減るので、パントリー兼収納スペースをたっぷり確保しました。
冷蔵庫もこの中に収納することでLDKの生活感を抑えることができますし、また収納スペースは水廻りの横にあるので、出勤時に必要なものを収納できるような想定をしています。
使い方によってはパントリーと収納の間に壁を設けることもできる設計です。
またコンロ側を壁にすることで油はねを気にせず使えて掃除もしやすく、レンジフードが部屋の真ん中に出てこないので見た目もスッキリとした空間になっています。

ーNONDESIGN HYGGEの一番の特徴「ヌック」

伊岐見：ヌックはオープン過ぎず個室過ぎず、LDKにいる家族と適度な距離感を保ちつつ、自分時間を過ごせる半個室的な空間を意識しています。奥行きと大きな窓を設け、外の景色を眺めながら長時間でもくつろぐことができる設計です。
プランはNONDESIGNをベースに“HYGGE”のライフスタイルをプラスしたので、パブリックとプライベートを曖昧にした、家族の距離感を大切にした間取りにしています。

ーインテリアのこだわりについて

オリジナルで制作したダイニングテーブルにもポイントがあります。
北欧は冬が長く気温も低いため、家具の脚がアイアンだと冷たく感じます。このテーブルは脚を木で制作し、見た目もスマートにデザイン性を持たせたので、北欧のライフスタイルに通ずるコンセプトになっています。
またリビングの円テーブルもジャパンディを意識したデザインで制作しています。側面がリブのようになっていて、カラーも好きなものを選べるので、自分の好みに合わせた家具が制作可能です。

住宅は「長く飽きがこない」をテーマに「ハコ」をできる限りシンプルに、家具や照明で変化をつけられる住まいを目指しました。

ーリリース後の反応は？

山本：伊岐見さんが今まで培ってきた確かなノウハウと女性目線の設計はやはり説得力が違いますね。我々が同じ間取りを打ち出したとしても伝わり方はきっと違う。
おかげ様で反響もすごくあって。加盟店さんからも続々と契約と建築の報告がきています。

伊岐見：嬉しいですね、ありがとうございます。
YOUTUBE動画も2ヶ月で4万回再生されていて、私としても手応えを感じています。

ーこれからの規格商品に必要な展開とは

山本：我々フランチャイズの商品住宅を展開する上で、例えばデザインや性能など色々ありますが、押さえるべきポイントについて、伊岐見さんはどう考えてますか？

伊岐見：私は性能をどこまで求めるかは、人それぞれだと思います。地域性もあると思うので、一定の基準以上は担保した上で考えると、私自身は極論、デザインと価格だと思っています。

山本：確かに、今断熱なり等級なり最低限の基準がありますよね。それをクリアした上で今住宅業界に求められていることは、商品の幅を広げるということが大事になってきていると思います。

伊岐見：そうですね。性能など実力がある前提で、じゃあメインの商品に何を持って来るのか、価格とデザインのバランス設定が大切だと思います。
例えば北海道と三重で基準が違うように、エリアによって変わるので、規格住宅のワンプライスは今後成り立たないと思っています。そこに対応できるように同じ間取り・デザインでも基準によって横並びの展開をしていく必要性を感じています。

ー今後の展望や可能性について

伊岐見：ありがたいことに県外の方からも建てたいというお声をいただくことも多いんですね。
それってすごく嬉しいことだなと思いまして。私が設計したものを、全国のどこかにいる方が求めてくださる、そういうことを最近感じてまして。
じゃあどういう形態なら実現可能か考えたのですが、今一番現実的だと思っているのが業務提携です。
今は施工はとてもしっかりしているけど、営業ができない・集客がないという会社が結構多いと思っています。そういった会社と業務提携できたらと考えています。
営業・設計・契約までをホームランディックが、その先を提携先の会社、という展開の仕方をしたいなと思っているところです。エリアの壁を超えて建築のお手伝いをしていきたいと考えています。
たくさん建てる・安く建てるというより、私はやはり建築家ですので、設計業務を通して厳しい中でも住宅業界を守りたいと思っています。

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