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2024.08.29
INDEX
高品質な家づくりを実践できる工務店が増える中、経営成功のカギを握るのは「いかに知名度を上げるか」という点に集約されつつある。ところが、従来のテレビCMや雑誌などの広告施策には多額の投資が必要で、資金力によっては思うように実施できないケースも少なくない。そのため、地域工務店にとって重要なのは、地域の特性や住民のニーズに合わせた効果的なアプローチだ。
具体的には、地元にフォーカスした広告を戦略的に展開すること、獲得した見込み客を丁寧に育てること、そして他社と差別化できる自社の強みを軸としたブランディングを徹底することが必要になる。これらの要素を組み合わせることで、その地域における「選ばれる工務店」への道が開かれるだろう。
まず必要なのが、地域に根差した企業であることをアピールし、住民との信頼関係を構築すること。地元のメディアを効果的に活用し、自然と目に触れる機会を増やすことで、地域における存在感を高められるだろう。重要なのは、一貫したメッセージと企業イメージを維持しつつ、地域特性に合わせた露出戦略を選択することだ。
戦略1.看板広告を設置する
交通量の多い場所や主要な交差点に看板広告を設置する。地域住民の日常生活の中で繰り返し目に入るよう工夫し、継続的な露出を図る。初期コストはかかるものの、長期的な認知度アップ効果が見込める方法だ。
戦略2.チラシを配布する
チラシのポスティングも、工務店にとってオーソドックスな集客手法のひとつ。エリアを限定して配布できるため費用対効果が向上しやすく、配布枚数を絞ることで予算調整も可能だ。
戦略3.工事現場を広告スペースとして活用する
進行中の工事現場は、工務店にとって実績そのもの。現場シートに自社の広告をプリントすることで、長期的に近隣住民に対してアピールできる。
戦略4.地域メディアに広告を出稿する
地域新聞、地元テレビ局、コミュニティFM放送などの地域メディアに広告を出稿する。地域情報誌やフリーペーパーなど、地域住民が日常的に手に取るメディアへの広告掲載も効果的だ。
戦略5.地域イベントに参加・協賛する
地域の祭りやスポーツ大会などのイベントに参加・協賛し、地域社会への貢献を通じて企業イメージ向上と認知度アップを図る。また、住宅ローンセミナーや子育て世帯向けのイベントなどを主催することで、自然な形で工務店の存在をアピールすることも可能だ。
工務店の顧客となるのは、地域住民だけではない。施工エリアを通勤や買い物で利用する人々もターゲットとし、生活パターンや行動範囲を分析することで、より広範囲の認知度向上を狙うことも必要だろう。また、アプローチする範囲を広げることで、将来的な事業拡大の可能性も検討できる。
戦略6.主要駅・交通ハブでの広告展開
近隣都市からの通勤者や、地域外からの来訪者が利用する主要駅や交通ハブに広告を掲示し、多くの人の目に触れる機会を創出する。高速道路のサービスエリアや主要な交通結節点など、地域間の移動が多い場所でも広告展開することで、転居を考えている潜在顧客へのアプローチも可能だ。
戦略7.商業施設でのプロモーション
近隣市町村からの集客がある大型商業施設やショッピングモールでプロモーション活動を行う。週末の買い物客など、幅広い層へアプローチできる。
戦略8.地域の中核企業・教育機関との連携
地域の主要企業や大学などの教育機関と連携し、従業員や学生向けの住宅セミナーを開催する。地域外から通う人々にも工務店の存在をアピールできる。
デジタル時代において、オンラインでの存在感を高めることは工務店にとっても不可欠となっている。ここまで紹介してきたオフラインの取り組みと連携させることで、相乗効果も期待できるだろう。
戦略9.Webサイトのリニューアルと最適化
直感的なナビゲーション、モバイル対応のレスポンシブデザイン、施工事例ギャラリーの充実、FAQセクションの設置など、潜在顧客が求める情報を分かりやすく提供する。また、地域に特化したキーワードを中心にした検索エンジン最適化(SEO)の一環として、ブログやコラムなどの有益なコンテンツを定期的に更新し、自然検索での上位表示を目指すのも一手だ。
戦略10.SNSマーケティングを展開する
SNSを活用し、施工事例や日々の業務風景、住まいづくりのヒントなどを定期的に発信する。視覚的にブランドコンセプトを伝えやすいInstagramは、特に工務店ビジネスとの相性が良いだろう。フォロワーとの双方向コミュニケーションを通じて、関係性を深めることも可能だ。
戦略11.オンライン広告を活用する
Google広告やSNS広告を利用し、ターゲットを絞った効果的な広告配信を行う。リターゲティング広告を活用した、継続的なアプローチも検討したい。
ポイント1:オフラインとオンラインの両輪で実施する
看板やチラシ等のオフライン施策は、地域住民へターゲットを絞って効果的にメッセージを届けられるのがメリット。日常的に目に触れることで、企業への親しみは増すだろう。
一方で、オンライン施策は確実にターゲットに届けるものではないが、不特定多数に向けて広く情報を発信できる。反響を計測しやすいのもオンライン施策の利点だ。
認知度を高める手段がオフラインかオンラインのどちらかに偏っていると機会損失のリスクがあるため、両輪で実施することが必要だ。
ポイント2:自社のアピールポイントを明確にする
単に幅広い顧客層を呼ぶのではなく、自社の価値観や提供するサービスに共感する顧客に絞って関係を構築することも重要だ。他社との差別化ポイントを明確に打ち出すことで、マッチ度の高い顧客を呼ぶことができる。
例えば、「耐震等級3」などの高い性能基準や、環境に配慮した家づくりへの取り組み、地域密着型のサービスなど、自社の強みを際立たせること。また、明確な価格帯を提示することで、顧客の予算に合わせた選択を促すことも可能だ。
ポイント3:育成戦略も同時に実施する
成約までに時間を要する工務店ビジネスにおいて、途中で顧客の気持ちが変わるケースは少なくない。見込み客と定期的な接触を図りながら、モチベーションを落とさずに成約までエスコートしよう。
見学会参加や資料請求などで集めた顧客情報は、適切に管理・リスト化。これらの情報を元に、定期的なメールマガジンの発行やSNSによる双方向コミュニケーションを図る。また、顧客のニーズや段階に応じて、子育て世帯向けの情報提供や予算に応じた提案など、個別のフォローアップを実施することも効果的だ。
新築住宅着工戸数が減少傾向にある中、営業や広告戦略に注力しているが着工件数が増えないと悩んでいる工務店は少なくない。また、コンテンツマーケティングやSNS広告について、当初のような反響が得られなくなってきたと感じている担当者も多いだろう。
競合他社がひしめく中で地域工務店が安定的な受注を目指すには、トップ営業マンの営業活動に依存するのではなく、顧客から選ばれる工務店になることが必要だ。自社の強みや特徴を明確にし、一貫性のある発信を続けることで、他社との差別化に繋がる。今回紹介した戦略を着実に実行することで、地域の人々に愛され、選ばれる工務店への道が開かれていくだろう。